こだわりどころ
「B01」の処方を担当した研究開発者は言う。
「機械で測る事ができるものはわかりやすくていいんですが、艶は機械だけでは測れない。人が洗車をする以上、やっぱり人間の目でしかわからない部分を大切にしたかったんです」
そのこだわりは、今回選んだB01にしっかりとこめられている。 今回、肝となる素材に選ばれたのがアクリル樹脂。水族館の水槽の素材にもなるこの物質の特長として、光の屈折率が高く、 ガラスに匹敵するほど透明度が高い。そして、艶を出すためのもうひとつの重要な要素を持っている。
「狙った艶を出すためには、屈折率ともうひとつ重要な要素があり、それが膜の厚さです。 この処方は、アクリル樹脂が塗装への密着性が良いという特性を最大限に引き出して、膜厚をできるだけ厚くする方向で攻めた処方になっています」
艶性能を確保した上で、B01ではもうひとつ上の仕上がりを追求した。 手触りでわかるスベスベ感を再現しようとしたのだ。 そのために、ケイ素系樹脂が配合された。
「いや、艶だけでも十分難しかったんですけどね(笑)手触りでわかるスベスベ感を追求するということは、それだけ仕上がり表面を平滑にして、かつ滑りを良くしなければなければならないということなんです。平滑に仕上げられれば、必然的に光沢も上がって、クルマのプレスラインとかエッジが際立ってシャープに見える。でも、この辺がケミカルの難しいところで、少しでも配合のバランスが崩れると、艶も出ないし、平滑性も、光沢も出ない。お互いの悪い性能ばかり引き出しあってしまうようなケースもある。そこを解決する素材を見つけるのと調合バランスを探るのに時間がかかりました」
B01のポテンシャル
結果的に、出来たものは満足のいくものだったのだろうか?
「こういう艶感が得られる仕上がりで、簡単に使えるものはずっと欲しかったんですよ、個人的に。だから、一番気に入っています。ですが、商品化されていないものは余程のことがないと社外に持ち出せないんですよ。だから、これで正々堂々、今度から家で自分のクルマに使うことができます(笑)」
ではなぜ、これまで商品化が見送られてきたのだろうか。
この問いに、開発担当者は苦笑いしながら答えてくれた。
「ちょっと使用方法を繊細にしすぎてしまったんですね。僕が使う用に作ったも同然なので(笑)でも、本来めんどくさがりなので、使うのに時間がかかるようにはしていません。ある一定の条件下での使用しか想定していないつくり、といったほうがわかりやすいでしょうか。だから、使用説明書はしっかり読んで使ってください(笑)」
そこまで自身が惚れ込んだB01の仕上がり感は、どうなのだろうか。
「艶は狙ったとおりの膜厚感がしっかり出ているので、洗車後のクルマを見て悦に浸ってしまうくらいです。自画自賛ですが(笑)そして見るだけじゃなくて、指先でそっと触ってみてください。表面のスベスベ感を体感してもらえると思います。狙ったとおりに艶が出ていて、表面の平滑性も手触りでわかる。自分が欲しかったものが、視覚と触覚できっちり再現できてる。なんだか、自分だけのものにしとくには惜しいですよね(笑)」
見てわかり、触ってわかる仕上がりの「気持ちよさ」。 毎日、研究室と野外での洗車テストを繰り返しつづけて鍛えられた目が満足する、自慢の逸品だ。